===== 人事院勧告による給与法改正と、本学の給与体系について ===== またもや繰り返される55歳以上の教職員に厳しい措置!\\ 国家公務員に特化した給与法改正による給与規程の改悪部分の完全撤回を断固要求します!\\ \\  上記の問題については、昨年職組ニュースでも取り上げ、かなり詳しく解説しましたが、その後新たな事実も判明したため、その点も加え、本学の給与体系がいかに我々の給与水準を低く抑えることに寄与しているかを解説してみたい。\\ \\  昨年11月12日、人事院勧告に伴う国家公務員給与法が国会において、与野党の賛成多数で成立しました。給与増(ベースアップ)勧告の完全実施という面だけが報道されていますが、筆者が年末に頂いた4月に遡る差額はわずか2000円足らずでした。これでは、消費増税の補填にもなりません。そして、そこには恐るべき事実が隠されていたのです。\\  すでに昨年2回目の学長交渉で回答があったように、本学も今から解説する給与法改正に準ずる給与規程改正(実は改悪)を実施することになっていますが、またもや高齢層について非常に厳しい内容であることは、すでに職組ニュースで報告した通りです。\\  本学においてもすでに昨年11月13日の大学協議会で十分な審議が尽くされたとは思えないのに、給与規程の改正が承認されました。その結果、公務員同様、55歳以上の教職員の方には今年4月1日には、ベースアップで改訂されたばかりの給与表が大きく減額されたものにさらに改訂され、以降3年間(平成30年3月31日まで)の昇給は望めないことになりました。先ずは、公務員ではない本学において、このような給与規程改正を行うことに対し、強く反対し、速やかにその部分の規程を再度ベースアップされた給与表に戻し、通常の昇給を実施することを強く要求します。以下、この問題を詳解してみたいと思います。\\  付言すると、大学協議会でこのような重要な問題が簡単に承認されてしまうのかが不思議です。過日の55歳以上の本俸1%減額がいかに不当な措置であり、その後渋々撤回されたことを考えれば、今回も国家公務員給与に特化した部分(地方自治体によっては実施しないところもあります)の給与規程の改正には、大学協議員が反対し、その部分だけでも実施を見送るように議論されるべきであったと強く主張するのは、職組ニュースでも述べた通りです。\\ \\  今回の給与法改正の問題点は、人事院勧告に銘記された次の部分です。(全文は人事院のHPから見ることができますので、検索してみて下さい)\\ ※給与制度の総合的見直し これに対応する資料として、今回の人事院勧告には「勧告別記5」という俸給表が添えられています。\\ (ここでその資料全てを掲載するとPDFでゆうに180頁以上になるため、次の二つのURLから俸給表を参照して下さい。①が今回の勧告の結果の俸給表。②が別記5(7まであります)に対応する俸給表です)\\ ① http://www.jinji.go.jp/kankoku/h26/pdf/26kankokubekki1.pdf\\ ② http://www.jinji.go.jp/kankoku/h26/pdf/26kankokubekki5.pdf\\ \\  さて、ここで大きな問題があります。本学の給与規程に掲載されている俸給表をご覧ください。(グループウェアの規程集から閲覧できます)この給与表は上のURLにも、平成23年度以降の人事院勧告のどの給与表を探しても出てきません。ここは説明が難しいのでよく読んでください。\\  平成23年度の人事院勧告では40歳代を念頭に50歳代の給与の官民格差を埋めるために-0.23%のベースダウンが行われていますが、その勧告に本学は従っていません。故に、この時点から本学の給与規程に載っている給与表は号俸の下の方を除いて、人事院勧告で出される給与表から離れる(同じ号俸でも金額が異なる)ことになり、どこにも存在しないことになりました。(このベースダウンを実施しなかったことは評価されます)その後、平成24年度、25年度の人事院勧告では、ともに給与表の変更(ベースアップまたはダウン)は実施されなかったので、給与表に変化はありませんでした。しかし、平成26年度は久しぶりにベースアップが実施され、給与表が変更されました。このベースアップに対応して、本学でも昨年の12月の学報に改訂された給与表が載っていますが、この給与表は、先に述べたように、上記①のURLに載っているものとは金額が異なります。もうお分かりになったかと思いますが、平成23年度の段階で0.23%のベースダウンをしていない給与表から今回ベースアップが適用された給与表に移行したのです。各自の詳しい給与の推移は、下に挙げる日付の給与明細を準備して、各年度の人事院勧告を見て下さい。ウェブで検索して、簡単に出てきますので、その中の各年度「勧告」というPDFに改訂された給与表があります。ただし、俸給級数によっては、本学の給与表には人事院勧告に存在しない枠外、すなわち初任給を抑えるための低い金額の号俸や公務員にはない高い額の号俸の設定があるので、完全に人事院勧告の給与表と号俸が一致しない場合があります。また、平成24年度と25年度は改訂がなかったので、給与表は平成23年度と同じになります。\\  ある教育職員(教授)の例を参考にして下さい。\\ ^時期 ^号俸 ^金額 ^概要^ |平成21年(2000年)1月|5級-48号俸|517800円|現給保障で517900円支給| |   同       12月|5級-48号俸|516500円|ベースダウン実施| |平成22年(2010年)1月|5級-52号俸|524100円|現給保障を追い越す| |   同       12月|5級-52号俸|523300円|追い越したのも束の間、ベースダウン| |平成23年(2011年)1月|5級-56号俸|530400円| |   同        4月|           |525096円|55歳以上本俸1%減額実施| |   同       12月|           |529096円のまま|ここがポイント:人事院勧告では5級-56号俸は527800円(平均0.23%ベースダウン)になっているが、本学では実施しなかったため給与表に変更なし)本来なら下がるところでした。| |平成24年(2012年)1月|5級-60号俸|530640円|536000円の1%減額(人事院では5-60は533400円)| |   同       12月|           ||改定なし| |平成24年(2013年)1月|5級-64号俸|534897円|540300円の1%減額(人事院では5-64は537700円)| |   同       12月|           ||改定なし| |平成25年(2014年)1月|5級-68号俸|538362円|543800円の1%減額(人事院では5-68は541200円)| |   同        4月|          |543800円|1%減額の廃止| |   同       12月|          |544400円|ベースアップ(人事院では5-68は541400円)|  先ず、この方の給与表の号俸に対応する金額は人事院勧告の給与表と一致しません。なお、公務員の本俸1.5%減額はこの3月まで続きますが、その後は同じ苦汁を舐めることになります。\\  この点、すなわち計算方式または出典を非公式に人事部に質問したところ、次のような回答がありました(一部要約)。\\ 「まず、12月学報の16頁以下の俸給表については、人事院のホームページ等での掲載はありません。改定後の国家公務員俸給表との差についての説明は後述いたします。次に俸給表の根拠についてですが、まずそのためには人事院勧告の近年の流れを説明する必要があります。国は平成23年度に震災の影響を受け臨時特例で平均7.8%の減額を行いました(これは俸給表の引き下げではなく、本俸を率により直接減額処理しています)。さらに、主に55歳以上の方に対して平均0.23%の俸給表の引き下げ(ベースダウン)も同時に行い、二つ併せて約8%の給与引き下げを行っております。本学はこの7.8%減はもとより、0.23%のベースダウンを行っておりません。そのために平成26年11月までの俸給表は、主に55歳以上の方は国より高い水準となっていました。今回、本学の引き上げはこの高い水準から、さらに各号俸において国の引き上げ幅と同程度の引き上げを行っています。これは今回の引き上げ改定の趣旨を尊重し、国の引き上げ幅を下回らないために行ったものです。」\\  以前の学長交渉で大学当局は学外の機関(財団法人日本人事行政研究所)が作成した枠外の号俸も含めた給与表を使用していると発言していたのですが、それはどうなったのでしょうか。この回答によると、本学が独自に計算して給与表を作成していることになります。ここですべての号俸の金額を精査することはできませんが、もし本学独自で計算しているのなら、綿密にミスのないようにしていると信じたいものです。そして、そういった計算を今後も続けなければならないという点において、本学の給与表は永遠に人事院勧告とは乖離したものになっています。あとで解説する4月からの給与法改正後の新給与表において、仮に人事院勧告と同じものを出すとしたら、それこそまさに不利益変更であるので、今度は組合も真剣に策を講じねばならないでしょう。(後述で詳しく)\\ \\ さて、上記の教授の方の例における給与の流れには次の意味があります。\\ - この方は平成17年4月に517900円に昇給してから、翌年平成18年4月からの公務員給与改革の名のもとに、本学でも大幅な給与減額が実施されたため、現給保障という制度で517900円のまま平成22年1月にようやく給与表の額が現給保障額を追い抜いて、実質的な昇給が始まっています。\\ - その後の昇給も、2度のベースダウン、昇給額の縮小(平成18年4月以降)、賞与の支給比率のダウン、本俸1%カットなどによって、実質的な年収は上がるどころか、下がる年が多いほどでした。\\ - それでも、ようやくベースアップもあり、賞与の支給率も上がったことから、少しは給与が増えていくかなと思っていました。ところが、今から説明する、本来なら公務員に特化されるべき給与法の改正によって、この4月から、先の1月に昇給した5級-72号俸(547400円)のまま、またもや平成30年3月31日まで昇給が見込めないことになり、もっと恐ろしいことには、平成30年4月に現給保障が終わったときに、給与が下がる可能性が高いのです。本来なら、定年5年前昇給停止には5級84号俸(558200円)まで昇給して、何とか退職金や年金の額も少し増えるかなと思っていた矢先、これでは夢も希望もありません。この方は、平成元年に福大に奉職されました。26年間、研究、教育にまじめに取り組んできた結果がこのようなものになるとは、信じられない気持です。平成7年に東京のある私大に移る話しがあったときも、福大の可能性に賭けて残ったのでしたが、今となってはあちらのほうが良かったなあとため息の出る思いだそうです。 \\  要するに平成17年4月に519700円だった給与はこの1月に547400円になって、おまけに平成30年3月まで給与は上がらず、さらにそのあとは下がるかもしれないという仕打ちに晒されているのです。10年間勤めて本俸はわずか30000円しか上がらず、おまけに3年後には下がるとは一体どういうことなのでしょう。本学経営陣の責任はないのでしょうか。\\ \\  この現実を皆さんはどうお考えになりますか。\\ (組合注:給与法改正後の本学の給与表はまだ公表されていませんが、枠外の分を含めた号俸の金額がどうなるのかには、精査が必要で、まさかここで今回人事院勧告で提示された別記5の給与表に戻すようなことがあれば、これはまさしく不利益変更ですので、その撤回・修正には徹底的に要求し、譲るつもりはないことを表明しておきます。付言すれば、後で述べるように給与法改正に従うことなく、昨年12月の学報に掲載された給与表を何故維持できないのでしょうか。まさに経営陣の責任は甚大であると言わざるを得ません)\\ \\ さて、議論をする前に、給与法改正のポイントを説明したいと思います。平成26年度人事院勧告は次のように続きます。\\ \\ ※次のような課題に対応するため、俸給表、諸手当の在り方を含めた給与制度の総合的見直しを勧告(以下、要点だけを記述)\\ *○ 官民の給与差を踏まえた50歳台後半層の水準の見直し\\ [俸給表等の見直し]\\ ① 行政職俸給表(一) 民間賃金水準の低い12県を一つのグループとした場合の官民較差と全国の較差との率の差(2.18ポイント(平成24年~26年の平均値))を踏まえ、俸給表水準を平均2%引下げ。1級(全号俸)及び2級の初任給に係る号俸は引下げなし。3級以上の級の高位号俸は50歳台後半層における官民の給与差を考慮して最大4%程度引下げ。40歳台や50歳台前半層の勤務成績に応じた昇給機会の確保の観点から5級・6級に号俸を増設\\ ② 指定職俸給表 行政職(一)の平均改定率と同程度の引下げ改定\\ ③ 略\\ ④ その他委員、顧問、参与等の手当の改定、55歳超職員(行政職(一)6級相当以上)の俸給等の1.5%減額支給措置の廃止等(本学では1%減額で、昨年4月にようやく廃止されました)\\ (中略)\\ 3 実施時期等\\ * 俸給表は平成27年4月1日に切替え\\ * 激変緩和のための経過措置(3年間の現給保障)\\ * 見直し初年度の改正原資を得るため平成27年1月1日の昇給を1号俸抑制 (これは本学では実施されないし、されるべきではない)\\ \\  以上の点については人事院勧告で次のURLの中にイメージとして解説されています。\\ http://www.jinji.go.jp/kankoku/h26/pdf/26point.pdf\\ このURLを参照されて、とくに問題になるのは2-④の世代間の給与配分の見直しという表です。さて、上記①のURLから、例えば行政職俸給表(一)の6級の40号俸の金額を見て下さい。そこには397100円(12月学報の本学給与表では0.23%のダウンがないので398400円)のと書かれていますが、②の同じところを見ると389200円(本学ではそれに対応する給与表はまだ公表されていませんが、それより1000円ちょっと上の額になると思います)となっています。この方がこの1月にその号俸になったとすると3月までに①に従って397100円が支給されますが(なお、公務員の場合は3月まで本俸1.5%減額が続きます)、4月からは号俸上は389200円にダウンになるのですが、現給保障の制度で397100円が引き続き支払われます。その後どうなるかと言うと、平成28年1月には6級-44号俸(393800円)に昇給しても現給保障で397100円、平成29年1月には同様に5級ー48号俸(396600円)に昇給しても現給保障で397100円、そして平成30年1月に6級-52号俸(398700円)に昇給して、ようやく現給保障を追い越し、その金額が支給されます。\\  これが今回の給与法改正の意図するところです。3年間限定の現給保障があるとは言え、公務員に対しては継続中である55歳以上の本俸1.5%減額措置は3月末で廃止されるものの、実質的に相当額の給与の減額、それも今までのような暫定措置ではなく、給与表の固定という正面からの減額になります。その年齢や適用される俸給表に多少の違いがでますが、現給保障が終わる3年後くらいにようやく今回の本来の勧告の給与額に到達するかどうかは微妙で、要するに3年間給与は上がらず、場合によっては3年後に若干下がることになる場合もあるということです。末尾にさらに解説を加えます。\\  このような、公務員に特化した、それも官民格差の給与調査の方法が変更になって、民間の給与水準を低く報告し、アベノミクスによる財政出動のための予算捻出するためだけの人事院勧告に、民間である本学が従わなければならないのでしょうか。\\  この人事院勧告による国家公務員給与法改正と、今回の大学協議会による給与規程改正の決定は、過日無謀にも承認されました。昨年4月ようやく廃止された55歳以上の教職員の本俸1%減額(公務員は1.5%)の措置と全く同じ意味を持つものであり、他大学では殆ど実施されなかった給与減額をまたもや本学だけ実施し、後日組合の強い要求により撤回したという徹を踏むものであります。未だに1%減額については遡って差額を返還せよとの意見も多くいただいています。これでは、総論で述べたように、有力な私立大学との差はますます広がるだけで、優秀な研究者・教育者の流出がますます増えることが予想されます。このような定見のない、無策な給与体系を維持する経営陣の責任は重大であり、役員報酬の返上くらいは当然として、早急に経営姿勢を質し、全教職員が納得できる大学運営の構想を示すべきです。\\ \\   その意味で、別記5を実施するのは、またしても高齢者いじめの施策であり、永年福岡大学の発展に努力された方への思いやりの欠片も感じさせない冷たい措置で、過日の誤りを繰り返すだけのものです。それを繰り返す大学執行部のやり方には怒りさえ覚えます。この給与規程改正を起案した責任者の更迭を要求し、大学に対して、直ちにその部分の撤回を強く求めていくつもりです。\\ \\  それと同時に、本学の給与体系の中にある多くの問題点も指摘していきたいと思います。それは、ここでは書ききれないほどのものがありますが、昨年の学長交渉議題の中にもいくつかを取り上げていますし、それ以外にも今後取り上げたい問題として、役職者に支給されている10%の法定内超過勤務手当(一般職員は7%)の不当性、役職者の賞与の加算(プラスα)の金額が非常に大きく、その算定はどのようにしているのかについて(公務員の場合は加算式がはっきりとしている)、などなど弱い立場の給与(例えば嘱託職員の精勤手当のほんのわずかな増額さえ認めない)を犠牲にして、こういった福大独自の無駄な給与体系が存在することを明らかにしていくつもりです。とくに、一番大きな問題は役職者の不当な4号俸昇給、それに賞与の恣意的なプラスαの操作です。\\ \\  畠田財務担当副学長が、過日学長候補になられた際の所信で「福大独自の給与体系が必要である」と述べておられたことは、以前学長交渉の場でも指摘しましたが、もし、その所信が変わっていないのであれば、今回の給与規程改正の前に、組合や教職員の声を広く聴いて、その過ちに気付くべきであったと、強く主張しておきたいと思います。\\  この問題の撤回に向けた組合の要求実現に向けて、組合員の皆様の強い支援を心からお願いします。\\ \\  給与法の説明をうまくまとめ、皆さんの理解を得るのは相当難しいことですが、もし大変なら、ここまでを読み飛ばして、次のまとめを読んで下さい。今までの説明を、本俸の1%減額が廃止された本学に適用すると次のようになります。\\ \\ I. 次の俸給表が人事院勧告の結果、本学に存在します。\\ ①今回の人事院勧告実施後の俸給表(ベースアップで少し良くなっている)\\ ②その俸給表から55歳以上の方に対し2%~4%減額された俸給表(相当額の減額です)\\ \\ II. 今年12月に①の俸給表に従って、皆さんの給与も若干上がり、旧本俸との差額も4月に遡及して支払われます。また、多くのかたは来年1月にその俸給表に従って4号俸昇給します。(なお、賞与も若干アップしました) \\ III. しかしながら、来年4月からは②の俸給表が適用されて、本来は給与が大幅に下がることになりますが、救済措置として現給保障が実施され、来年の3月31日時点に支給されていた給与の金額が平成30年3月31日まで保障されます。ただし、それまでの期間は②の俸給表で昇給したと見做していき、その差額は補填されていると考えます。もし、仮に見做し昇給したとされる金額が現給保障されている号俸の金額を追い越すと、ようやくそこから本当の昇給が始まります。しかしながら、今回の場合は、現給保障期間に見做し本俸を追い越さずに、平成30年4月から給与が下がる可能性のある方がいます。\\ \\  その結果、いくつかのケースを調べましたが、例えば現在、教育職員(定年70歳の場合)で60歳以上の方は、65歳で昇給停止なので、この措置が本学でも実施されれば、昇給停止前の今から5年間はほとんど給与が上がりません。先に例に出した教育職員(I教授)の方もそうなります。概算で、現在教育職員だと59歳(65歳定年の方だと、54歳)あたりから上の方、事務職員だと56歳以上のかたは、定年までほとんど給与が増えないことになります。\\ ===== 総論(青木) =====  昨年の給与白書の総論に続き、先ず冒頭で強く訴えておきたいことは、[[2013年12月期の賞与から大幅なプラスαの減額]]が今なお続いていることです。一昨年の12月期の賞与から始まった不当な減額、とくに赴任1年目の職員にはプラスαが全くなかったとの衝撃的な事実も含めて、これは明らかに労働条件の不利益変更で、常日頃から組合は大学に対し、こういう場合には事前に組合と協議することを強く要求し、大学側(人事課が窓口)もそれを約束していました。しかしながら、学長交渉において組合が強く賞与のプラスαの回復と算定方式の情報公開を求めたことに対し、「賞与については予算の範囲内で毎年の状況に応じて総合的に判断し、期末手当および勤勉手当は人事院勧告通りの支給率は原則保証するように努力しますが、プラスαについては今後も算出方法を公開することはありません」との回答を繰り返すだけでした。これは、賞与におけるプラスα分がいわゆる闇給与([[恣意的に増減できるとか、管理職にはお手盛りできる]]とか、計算が間違っていても質す方法がない(事務局長は賞与に関する問い合わせには回答しないと答弁している)など、全てが何も根拠なく決められるという意味)であることを認めたのと同然で、過去の実績に遡り、また給与規程に賞与の規定が存在しないにもかかわらず慣例的にある一定の額が支払われてきたことからも、賞与はプラスαも含めて明らかに生活給であることを無視した暴挙が続いているわけです。大学には、我々組合員の生活を慮る気持ちと、良好な労使関係を維持することへの誠意が全く欠けていると言わざるを得ません。とくに、何故情報公開ができないのでしょうか。何か不都合なことがあるのでしょうか。組合は過去何度も賞与のプラスαに関する情報公開を求める要望書を提出していますが、このような回答が続くのであれば、賞与のプラスα減額を認めた学長以下、画策した財務担当役職者への厳しい態度を鮮明にせざるを得ず、また、2年に亘り例外的な内容の三六協定を締結してきたことへの方針も変えざるを得なくなっていることは必定です(従前の内容に戻らない限り協定を結ぶつもりはなく、今後一切の修正は許さない決意です)。また、これも昨年から言い続けていることですが、説明責任を果たして、改善されることがなければ、今回の減額措置が恣意的なものであったことを労働委員会へ提訴することは当然視野に入れています(少なくとも情報公開は簡単に認められます)。\\  労働基準監督署とか、労働委員会などというのは紛争校に関係がある部署で、このような手段を福岡大学で選択する可能性は極力避けなければなりませんが、責任はこのような事態を招いた大学側にあるので、致し方ありません。\\ ある意味、このような大きな不信を招いた三役の責任は重大で、本年度は学長選挙もあるので、現在の執行部から学長を選出するような流れがあれば、該当する候補者にはこの問題をどう考えているのかを質してしくつもりです。また、そういった暴挙が続いていることを大学協議会メンバーにも届けていこうと思います。\\ \\ さて、福岡大学の給与の問題点を一言でいえば、人事院勧告の恣意的な運用ということに尽きます。それは3年前の給与白書の特集記事で詳解したのですが、その後も問題となる不利益は解消される気配さえありません。おまけに一昨年来の賞与における重大な不利益変更という事実は、大学経営陣が何も学習していないという事実だけを浮き彫りにしました。\\ \\ 以下では、本学の給与体系において解決しなければならない課題をまとめることにします。先ず、昨年の給与白書の総論を加筆要約して、現在の本学の給与の問題点にまとめました。(なお、2015年4月から適用される給与法改正の詳解はこの白書の別の特集ですることにします)\\ \\  『公務員給与の減額に特化した人事院勧告の運用を止めるべきです。給与表を人事院勧告に従っている民間団体・企業(病院、農協、福祉関係、学校など多岐に亘ります)に雇用されている人が700万人もいるという事実で、アベノミクスのおかげで儲かるのは一部の大企業であり、給与が増えるのもそういった企業に雇用されている方でしかなく、人事院勧告を援用((組合註1:人事院勧告を援用している多くの企業、団体などでは、公務員の給与よりも低い号俸を用いたり、ひどい例では大学の教育職員に高校の教育職員の給与表を用いたりしているところがあり、公務員の給与より低いのが実態です。))している企業などにとって、昨年の勧告での給与の増額はほんのわずかな金額であり、これではとても景気の回復など覚束ないと言ってよく、昨年4月からの消費増税と円安による物価上昇分を補うに至っていません。もはやそんなわずかなベースアップしか勧告できず、公務員に特化した給与法改悪しかできない人事院の機能はすでに失われていると言ってよいでしょう。人事院勧告のおかげで生じる負の連鎖に泣く労働者は増える一方です。おまけに震災関連予算、補正予算などを捻出するためだけに特化した人事院勧告の乱発が目に余る状況になっており、本学でも「現給保障の減額」、「55才以上の本俸の1%減額」などの給与規程が制定されたが、昨年4月ようやくその非を認めたのでしょうか、その規定は廃止されました。すなわち、そういった規程自体がまさに公務員に特化した流れに便乗するだけのものでしかないことがはっきりしました。永年本学に奉職してきた教職員に対して、ましてや定年前5年での昇給停止という不当な規程があるにもかかわらず、こういったやり方が非常に厳しいものであることは自明でした。ところが、非を認めたのもほんの束の間、昨年2回目の学長交渉で明らかになった事実は驚くべきものです。またもや、そういった永年の功績を無にする施策が実施されます。これはこの白書の別の特集で詳解しますが、公務員の給与に特化した給与法改正を本学にも適用するというものです。これでは、元の木阿弥、またもや泣きっ面に蜂と言わざるを得ません。\\  すでに昨年2回目の学長交渉議題の中でも指摘したように、首都圏、関西圏の有力な私立大学と本学の給与を比較すれば、その差は歴然((組合註2:第2回学長交渉議題でも書いたように、例えば55歳の普通の教授の年収モデルで概略平均200万円近くの差があります。(註:多くの資料がありますが、55歳教授(非役職)の主な10大学(関関同立、早慶、明治、立教、法政、中央)のモデル給与額は2009年の時点で平均概算1,372万円です。西南学院はそれに近いものの、本学は遥か遠く及びませんし、その後給与の抑制を続けている本学との差は開くばかりです。ちなみに10大学の平均の55歳事務職(課長補佐以上)については10大学では平均1,155万円という数字ですが、これについては本学管理職の年収の詳細が不明なため、正確に比較することができません。))、それもその額の大きさに唖然とするでしょう。それなのに、役職者の報酬は相当良いという噂です((組合註3:役職者の報酬の基本(特別職俸給表)は分かるのですが、実はその俸給表のどの号俸が適用されているかも不明です。何しろ、賞与のプラスαの算定方式と同じで、実態について伝聞でしかなく、監査上も(企業と同じ)役員報酬全体の額は調べようとすれば分かるはずですが、そこにおける学外理事の報酬などの細かい数字の正確な額も不明であり、三役(学長・副学長・事務局長)が受け取っている報酬だけに絞った金額の算定は不可能です。))。\\  また、過去の特集で指摘した給与表の運用についても疑義があり、これも特集で解説しますが、少し補足すると、先ず人事院勧告によって出された給与表の運用や号俸の上限において独立行政法人の間でも格差が生じていて、人事院勧告や公務員給与の法令に関する運用にも温度差が生じている事実があります。また、そもそも本学はその俸給表と人事院勧告を援用しているため、すでに人事院勧告の本質との間で矛盾さえ生じています。もはや独自の、それも西日本有数の私立大学を標榜するなら、それにふさわしい給与体系の構築が急務なのに、それをずっと手付かずの状況にした本学経営陣の責任は重いと言わざるを得ません。\\  大学は事ある毎に、国から補助金をもらっているので、社会に公正な姿勢を示すために給与についても相応に人事院勧告に従って減額せざるを得ないと言っていますが、それは大きな間違いです。実際に給与に関して補助金の査定に関係するのは高額な給与(1500万以上と言われます)をもらっている教職員が多い場合などであり、もしそういったことが問題になるのであれば、三役以下の管理的業務の方、それもろくに仕事もしていないような方の高額な給与を削減するのが自然な方向ではないでしょうか。労働条件について我々は三六協定の拒否であるとか、労働基準監督署に対する意見書や労働委員会への提訴(賞与のプラスαの公開は正当な理由があればすぐに命令が出るが、本学の今回の減額措置は提訴すれば、まず間違いなく開示が認められる)といった形で、その権利を擁護する手段を持っていますが、給与についても同じで、多くの例がある中で、福岡教育大学とか最近話題の青山学院大学のように訴訟とか労働委員会への提訴ということになって、それが文部科学省に伝われば(または組合が文部科学省に意見書を提出すれば)、当該大学には「紛争校」というレッテルが貼られ、これは補助金削減の理由の一つになり、過去にもいくつかの大学内の紛争がそのような形で捉えられているのです。そこで、本学でそういうことが絶対に起きないと言えるでしょうか。もし組合員の有志が今も続いている不当な賞与の減額を組合に対し訴え、それに何らかの合理性がある場合、当然労使で協議して解決を目指しますが(もちろん現在も鋭意やっています)、それでもだめな場合、労基署ではなく文科省に意見を出せと言われたら、どうすればよいのでしょうか。さらに、一昨年の労働契約法の改正に伴い、組合は多くの問題に直面していますが、この問題でも同じことが起きる可能性は否定できないのです。経営状態が良好で西日本に雄を誇る本学が、人事院勧告の負の連鎖に加担することなく、給与に関しても正しい姿勢を貫き、教職員の生活を少しでも豊かにするように願うものです』\\ \\ さて、昨年上述の論を書いてから、本学の給与体系は良くなったでしょうか。実は、賞与のプラスαの問題も含め、悪くなる一方で、公務員準拠と言いながら、初任給の格付けでは公務員に比べ著しく不利益なことを行っている問題なども新たに判明し、我々の生活を思い遣る方向は何一つ打ち出されていないという声が圧倒的です。その理由を4点に絞って詳解し、総論とします。\\ ① 勧告義務を否定した人事院勧告に準拠することの非合理性\\  →独自の給与体系の構築の必要性。\\ ② 組織の肥大化による人件費の増大と先見性\\  →人事政策の欠如\\ ③ 消費増税に対する大学運営のビジョンの欠如\\  →適正な授業料の設定\\ ④ 給与規程における無駄の排除\\  →役職者、管理職の賞与や手当の整合性と管理職に支給されている法定内超過勤務手当の不当性\\ 先ず、人事院が代償機関であることを放棄しているのに、民間である私立大学の本学がこれからも人事院勧告による俸給表を恣意的に援用した給与体系を維持することは、消費増税による給与の目減りを容認し、永年功績のあった高齢者の給与を抑制し、今後もベースアップがない場合でも、それに従う流れに乗ったままの、まさに何も努力をせずに人件費だけを抑制するという守旧の極みです。おまけにしつこいようですが、賞与のプラスαの改悪と言う大暴挙を見ると、「福大危ないの」という思いに捕われそうになるのですが、やっぱり本当に危ないのでしょうか。だとすれば、無策の経営陣の責任はどうなるのでしょうか。それなのに、学内に「~~機構」とか「~~センター」とか「~~室」なる新しい部署や機関がどんどん作られて、以前からある部署も含め新規の教職員が採用されているのはどういうことなのでしょうか。そんな人件費が出せて、野放図にそんな組織運営をしている経営陣が高額の報酬を貰っているのなら、賞与のプラスαの減額はどういうことなのかはっきりと説明して欲しいと思うのは全教職員共通の疑問です。おまけにそういった部署の増加に併せて管理職の数もやたら増えているというではないですか。そんな予算があるのなら、わずかでよいので、教室の空調の適正化、TAの配置、需要費(教育や研究に必要な経費)の増額などに回してくれたほうが、余程教育効果を上げることができるでしょう。学生のことは後回しで良いと考えているとしか思えません。逆にそういった教育の質の向上に対する予算の締め付けはますます厳しくなるばかりです。おまけに本学には純粋な意味でのサバティカル制度もありません。また、講義形態によるノルマの差別も一向に解消されません。これでは、教育の質は、我々教員がいくら努力しても良くなるはずがないでしょう。そういった組織の問題を我々組合員全体が共有できているのだろうかという不信感があるのは事実です。おまけにそういう新規の部署から、突然「~~~しなさい」とか「~~~の評価はどうなっていますか」とかいろんな仕事が押し付けられてくるのですが、果たして我々、とくに教育職員全員がその意味をしっかり把握して対処しているのか疑問です。その結果、そこでまとめられた方針が理解されず、フィードバック効果が期待できないことになるのではないでしょうか。これは筆者だけではなく、本当に多くの組合員から疑問の声として届いています。教育の質を上げその体系を有機的にすることが一番重要であるのは言うまでもないのですが、果たして、それに向かって正しい方向に改編が行われているということを確信させてくれる組織図の将来像が未だ見えないという声が多いのも事実です。しつこいけど、IC学生証での出欠チェックは止めて、TAを配置してくれるほうが余程有り難いのですが。\\ ちょっと総論から、脇道に逸れるところでしたが、③について述べたいと思います。学費の問題は健全な大学経営、とくに医学部を抱える本学の場合には、もちろん反対の意見もあると思いますが、消費増税や物価上昇を考慮すれば、避けて通ることができない課題です。これについては組合員の皆さんの意識・意見をしっかりと伺いたいとも思っていますが、我々組合役員の多くは学費についてはしっかりと議論したうえで、妥当な金額で値上げをしながら、ある一定の収入を確保することは必要だと思っています。4月からは学費が若干値上げされます。この問題に対し、組合からの問いかけには、常に大学側は値上げを否定的に捉えるような発言をされていたにもかかわらず、今回は値上げに踏み切りました。大学経営陣は果たして本当のところはどう考えているのでしょうか。議論を尽くし、大学の経営方針を検討しているのでしょうか。\\ こういった問題には、福岡大学がはっきりとした案を、他大学に先立って出すことに意味があると思います。というのは、学長交渉の席上で繰り返されるお決まりの台詞があるのです。給与や労働条件などの懸案について「他大学の状況を見ながら検討する」という言葉です。その言葉を聞く度にやる気のなさを感じるのは筆者だけでしょうか。何故、九州、いや西日本を代表する私学を標榜する本学が、他大学に先立ってお手本を示し、問題提起ができないのでしょうか。本学が他大学に先立って、労働条件(給与体系の構築だけでなく、非常勤講師の給与、有期雇用の廃止、男女共同参画に寄与する制度などお手本を示せる課題は山ほどあるはずです)、学費体系、教育システム(学年暦や授業におけるサポートシステム)、医療システムなど、大学として正しい姿勢を示すことこそ、本学に課せられた使命ではないでしょうか。それなのに賞与の減額だけはいけしゃあしゃあとやってしまうのには驚きの念を禁じ得ません。\\ 最後に④の問題です。これには闇の部分が多く、組合が掴んでいる情報も断片的なものです。例えば、事務部長クラスの賞与の額がどういう算定方式で決められ、あのような高額なものになるのかははっきり分かっていません。公務員であれば、賞与への管理職分の加算にははっきりした計算式が存在しますが、本学ではプラスαという闇の中での話しになってしまいます。他にも三役の報酬の計算方式など問題にすべき点は多くありますが、情報が断片的であり、また個人情報に関わる部分も大きいので、ここでその話しをあからさまに出すことはできません。そのような中で、法定内超過勤務手当については明らかに不当な手当だと言わざるを得ません。それも一般職員が本俸の7%なのに対し、管理職には10%も支給されているのです。先ず、法定内超過勤務手当と言われて、何のことかと思う方も多いかもしれません。本学就業規則で詳しく説明すると却って分かり難くなると思うので、例を仮定の切りの良い数字で説明します。\\ - 残業手当は、週40時間以上働いた分に支払われます。 - 一日の労働時間には関係ありません。 - 平日の労働時間が7時間で、土曜が5時間の週40時間とします。 - 週休が隔週で2日あり、おもに土曜と日曜だとします。(祝日の問題が入ると複雑なので、それも省きます) さて、上記の場合、本来土曜が休みじゃない週はどの日も7時間働いた後に残業手当が付きますが、土曜が休みの場合は、週の合計労働時間が40時間を超えた分から支払われます。ところが、それを細かく計算すると残業手当が複雑になるので、平日の毎日に1時間の見做し残業を土曜が休みであろうとなかろうと手当として付けて、その分は残業にしないというのが、法定内超過勤務手当の基本的な考えです。要するに、毎日終業後1時間分については、仕事があれば残業手当なしで働き、仕事がなければ帰ることができます。もちろん、1時間を超えた部分には残業手当が付きます。その見做し残業分の手当として一般職員には本俸の7%が支払われています。ところが残業手当が付かない課長補佐以上の管理職にも同じ名目の手当が支払われています。それも本俸の10%です。こじつけの論理は「管理職は一般職員が残業の際は付き合って残っているから」というものです。皆さんはこれに納得できますか?こういったことがずっと放置されてきたのです。この問題は早急に解決(手当の廃止)されるべきではないでしょうか。そして、その分をより弱い立場の方たちの待遇改善にまわすべきではないでしょうか。\\ ここに昨年と同じことを書きます。\\ この十数年の大学の評価に関するニュースで、一般入試で入学する学生が増加している大学こそが本当の力を付けているという報告がありました。その通りだと思います。教室で、できる学生の多くが一般入試で入学してきた学生だとの実感は、かなりの教育職員が共有していると思います。入学者の確保と言うことは大学経営にとって重要な課題ですが、社会にどういう学生を送り出すかというしっかりしたビジョンを持った改革が、経営、教育、研究、医療すべてにおいてなされることを願って止みません。そのための基本的な労働条件が給与なのですが、やる気を起こさせる施策がいまだ実行に移されず、やる気を失せさせる施策ばかりなのはどういうことでしょうか。現在の経営陣に大きな責任があると、心から訴えます。\\ \\ 昨年も同じ締め括りをしましたが、それを繰り返します。\\ いつ真の改革をしますかに、「今でしょ」どころか「去年でした(昨年は「昨日」と書いたがもはや1年経つので!)」ということにならないように祈願して、総論を締め括ります。\\