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2012_07_17_平成24年度第1回学長交渉議事録

平成24年度第1回学長交渉議事録

日 時:2012年6月12日(火)17:30~
場 所:本館2階 第一会議室
出席者:
組合側)山﨑中央執行委員長、大久保同副執行委員長、三島同副執行委員長、
平井同書記長、青木七隈支部執行委員長、末次同副執行委員長、久保同副執行委員長、山口同書記長、
田中烏帽子形支部執行委員長、村田同副委員長、田村同副委員長、小長同副委員長、瓜生同書記長

大学側)衛藤学長、今泉副学長、馬本副学長、内藤副学長、栁事務局長、
戸崎人事部長、中上人事課長、本村人事課長補佐、谷口人事課長補佐、
杉本人材開発課長、江渕人材開発課長補佐

【要望事項】

1.給与について

大学)概要を組合側からご説明いただきたい。

組合)3点あるのですが、読み上げさせていただきたいと思います。
1)3.11以降の公務員給与引下げ勧告について本学給与に反映させない旨、前回学長交渉で確認いただいているが、今後もそうであることを確約いただきたいというのが1点です。
2)また、既に昨年4月から実施されている55歳以上の本俸1%減額措置は即時廃止し、場合によっては過去に遡及して差額分を支払うことをお願いしたい。大学側は、公務員の場合の1.5%減額措置を1%減額に緩和していると言われるが、55歳以上の方々からは、「納得できない。何とかしてくれ。」と組合は強く言われていますし、尤もなことだと思います。
3)さらに、現下の経済情勢に鑑み、賃上げは焦眉の課題です。特別手当あるいは賞与加算、または昇給の号俸を5以上にするなどの方法で1~2%程度の賃上げを要望します。
平成18年4月、人事院勧告に準拠して平均4.8%の俸給表の引下げが行われました。これに対して第一印象として、「なぜだ」と失望感を感じました。この間、大学と組合は「一丸となって18才人口の減少に対処するため、福岡大学をよりよい大学にし、競争に勝ち抜く努力をしていこう」と頑張ってきたつもりだったのに、教職員にとってこの努力を裏切られたかたちになったわけです。各教授会でも激論が行われましたし、「人事院勧告に基づいているので、人事院が下げれば我々も下げます」と言われても到底納得できません。人事院勧告は、争議権のない公務員が民間並みに給与を上げるために作られたもので、引き下げは異例の事態として行われました。本学は人事院勧告に従うという暗黙の労使契約に基づき給与の引き下げを行ったわけですが、その暗黙の契約締結時には引き上げのみで、引き下げは想定されていなかったはずです。私たち教職員の失望感は極めて大きく、大学独自の積極的な給与決定枠組みを求める声は日ごとに高まっています。とりわけ、3.11以降、公務員給与の引き下げ報道があるたびに、大きな懸念の声が組合に寄せられているのが現状です。こうした政治的思惑を多分に含んだ勧告に従う必要がないことは、既に大学・組合双方の共通認識だと思っていますが、長期的には人事院勧告に代わる給与交渉枠組みを模索していく必要があるでしょう。
上記平成18年の人事院勧告は公務員給与を民間並みに引下げるという名目で行われました。その後、消費者物価水準で見て年率1%近いデフレーションが進んだことを考えると、実質給与水準では引き下げ分をほぼ取り戻したと見ることもできるかもしれません。しかし、デフレーションは大学経営における物的諸経費の軽減も同時にもたらしているはずであり、その分を振り向けての給与是正が行われなかったことを正当化するものではありません。
さらに、物価水準について、今年度以降状況が大きく変化する兆しが見られています。まず、今年2月14日、日本銀行はこれまでにない踏み込んだ表現で、年率1~2%程度のマイルド・インフレーションを目標値とするインフレターゲットを伴った金融緩和を行うことを発表しました。政府経済見通し他、各民間シンクタンクもまた2%を超える今年度の経済成長を予測していることを考えると、物価動向の逆転はかなりの確率で現実的と思われます。是非この数値を反映させたベースアップによって実質給与水準の維持を考えてもらいたく思います。
また、現在の国会で消費税の10%以上の水準への引き上げが論じられています。現状の給与水準で消費税がアップされれば、消費支出に比例した大きな負担増となり教職員の生活を圧迫するに至るでしょう。こうしたなか、給与抑制の姿勢を継続すれば、教職員の勤労インセンティブに重大な悪影響を及ぼすことは明らかです。知的労働の生産性を維持するには比較的高水準の給与を維持することが必要というのが経済学の通説であり、ベースアップはこれらインセンティブへの大学側の配慮をアピールすることにも繋がるのではないでしょうか。
今後、ますます諸大学間の教育の質を巡る競争が激化し、学生の獲得競争が熾烈化するなかで、教職員の創造的な勤務姿勢は不可欠の競争資源です。たとえば、エクストラペイの違いなどを反映して、西南学院大学など近隣大学に比較して相対的に低いと言われる本学の給与水準ですが、これが幾分でも是正される方向が示されることで、教職員の勤労意欲は大いに高まることが期待されます。それは、本学の競争力を高める最も本質的な施策であると思われます。

大学)前回の学長交渉では、平成23年度の人事院勧告が流動的でした。平成23年度の人事院勧告では、月例給は引下げ改定マイナス0.23%となっていました。福岡大学では東日本大震災の復興財源に充てる給与削減7.8%の引き下げを行わないとは伝えましたが、今後の人事院勧告に従わないとは言っていません。
本年度は人事院勧告が出た後に改めて検討しなおします。人事院勧告準拠であれば、55才以上の本俸は1.5%の減額処置を行うのですが、本学は1%減額の緩和処置をとっております。また、過去に遡求して支払うことは考えておりません。
第3点ですが、今日の経済情勢を反映しているのが人事院勧告で、本学独自のプラス改定は考えておりません。給与水準を上げることが競争力を高めることについては、必ずしもそうとは言えません。しかし、少しでも教育環境を改善することが、大学の競争力を高めることに繋がると考えております。
他大学に比べて相対的に本学の給与が低いかはどうでしょうか。西南学院大学に比べればそうかもしれませんが、全体としてよそに比べて低くはないと思います。
本学は人件費比率を50%以下にすることによって医療・教育・研究水準を保ってきました。平成24年度予算を6月学報で示していますが、帰属収支差額が昨年度に比較して減少しておりました。経営力を高めていく努力が必要と考えております。

組合)要望の中に「一切今後の引き下げ勧告をしないと約束した」と書いたつもりはなく、昨年については従わないという返答だったと考えておりますし、今後の引き下げについては反対しております。
55才以上の方への引き下げは、1.5%を1%にしているから感謝してくれというのは受入れがたいです。1%という判断はどこからきているのか、そこに裁量の余地があるすれば、全面的にしない選択もありえるはずです。
組合としては、判断の余地があるなら経営的判断を加えていただきたい。インセンティブは数値化が難しいと思いますが、大学教育のためという強いインセンティブで働いていた私自身が裏切られた感を否めませんでした。多くの教員・事務職員も同じだと思います。
「人事院がそう言っているなら経済情勢を見て言っているはずだから」では、経営として怠慢が感じられます。
給与が全面的に低いとは言っていません。大学にとって第一の資産は人ですから、教員の教育能力、事務職員のサポート能力が死活的に重要です。50%にこだわっているのはいかがかと思います。マイナスのインセンティブとなっている引き下げを緩和するとともに、経営としては教職員の努力にアピールしていただきたい。
そうであれば、我々組合もできるだけ応えていきたい。教員も事務職員も努力しているので報いてほしい。教職員は大学の財産ですから、帰属収入と比較するだけの単純計算でよいのかと声を大にして言いたい。 我々は経営を仕事としておりませんので、組合を代表してそこは是非努力していただきたい。
人事院が経済情勢を見ているといいますが、現在の人事院勧告には経済状況に対する配慮があまり見られず、政治的判断が多分に含まれていると思います。財政赤字や震災復興の問題を巡る世論への配慮が含まれています。それに我々福岡大学が乗る必要がないと思います。現在の人事院勧告は、客観的で冷静な判断に基づいた引き下げとは言えません。我々労使は協力して新しい賃金体系を作っていく時期に差し掛かっていると思っています。

2.出張旅費の支給制度について

組合)要点は2つあります。総額支給か年2回支給かを教職員の場合は、選択できないかというのが1点、助手・助教の場合、年2回での支給には、学会での発表または連名の制限を設けてありますが、これを撤廃していただきたいというのが2点目のお願いです。

大学)総額支給という言葉が出ていますが、年間旅費として一定額の予算を各教職員に与えて、その範囲内であれば何回でも学会出張を認めるということだと考えますが、現在(平成23年度)の実績で見ますと、助手・助教の執行率は70.6%で、人数にして106人の助手・助教は一度も出張していないのが現状です。まずは、現在の執行率をできるだけ100%に近づけていただきたいと思います。総額支給と年2回の支給のどちらかを選択できるシステムにして欲しいとの事ですが、担当部署あるいは出張者自身の予算管理、予算の申請手続きなど、いきなり移行すると混乱が生じる恐れもあり、また現在の旅費システムの改修にもつながっていきますので、このまま移行するというわけにはいかないと思います。

組合)助手・助教の出張の執行率が悪いとのことですが、研鑽を積むためにも学会に参加していただくべきですし、連名でなくても勉強に行くということもありますので、文面どおり、ご検討いただければ執行率も上がっていくというのが組合の考え方です。

組合)執行率が低いということですが、やはり使い勝手と執行率は別の問題と思います。執行率が単に低いということでニーズがないというのではなく、助手・助教の方が置かれている勤務条件とか研究所のスケジュールなどにも依存するでしょうし、制約が多い場合、予算の自由度を増したほうが、執行率が上がるということも言えると思います。また回数を増やすことによって執行率が上がるということも言えると思います。

大学)助手は年1回じゃないですか。

組合)連名で発表する場合は2回です。

大学)私の助手時代は年1回でしたが、2回行きたいと感じるところはありました。執行率70%という数字を使用したのは、研究を持っている方に、モチベーションを与えたいという意味で使用しました。助手・助教の出張を促進するよう各学部長に協力をお願いしたいと思います。

3.定年後再雇用嘱託職員の給与について

組合)4月から施行されています定年後再雇用嘱託職員の4割近い給与の減額は厳し過ぎますので、何らかの救済措置を大学側にお考え頂きたいと思っています。具体的にはボーナスを増額(6月:2ヶ月分、12月:2ヶ月分)し、支給して頂くようにお願いしたいと思います。

大学)定年後の再雇用につきまして、最低賃金法に抵触するのであれば確かに問題になると思いますが、再雇用というのは、労働契約が終了した者と新たな労働契約を結ぶということです。この場合、賃金額の設定は全く自由と言うことでして、従来よりも低額になるということが、労働基準法違反になるということにはつながらないと思います。定年退職者の再雇用の趣旨とは、平成25年以降公的年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、現行の60歳定年制のままでは定年退職後、公的年金が支給されないまま無収入になるという事態に対応するためです。本学では60歳から63歳までの定年退職者に対して65歳までの再雇用制度を設けています。この給与支給額につきましては、年金支給額を上限として支給を考えています。他大学の状況を色々調査し考慮して、現在の調査の中で一番支給率の高い西南学院大学と同水準に決定しています。今までがそれ以上に高かったわけです。

組合)今回下げ幅が大きかったので、その分何らかの救済策とかを考えて頂けるかなと思ったのですが。

大学)言われることは良く判りますが、人件費比率が段々上昇していくなかで今年は50.8%になっています。医学部、歯学部を有する総合大学の人件費比率は平均45%なのです。これは給与の額が多いから人件費の高騰に繋がっているかどうかとは別問題ですが、やはり努力できるところは出来るだけ努力しながら人件費比率を抑えていくという、その一環ですのでなんとかご理解頂きたいと思います。

組合)また検討させて頂きます。

組合)組合としては労働基準法に抵触するとか言う気持ちは全くありません。我々もこの問題を検討する過程の中で弁護士に相談しています。今回の再雇用嘱託職員の給与を4月からの大幅引き下げにあたって、人事課の方では昨年の夏くらいからお話があっていたと思われます。それまでは退職時の給与(本俸)がそのまま維持されるとして働いてきたわけです。それが突然退職の1年程前になって急に大幅な減額を言われたということに関しては、期待していた給与に対してそれだけの格差があることを根拠に、場合によっては労働基準法で争えます。この点について労働基準法違反になる可能性があると弁護士から伺っています。大幅な減給に落胆された組合員がおられることを考えると、組合としては大学に善処をお願いしたいと言わざるを得ないわけです。人件費比率はあくまでも経営側の問題であって、そこは問題ではないと考えています。

4.助手・助教の図書費について

組合)助手・助教の方も先生方をサポートする際に本で調べる必要があり、前回の学長交渉では研究室の中で予算をとればよいとのことでしたが、組合で意見を取ったところ、やはり、助手・助教の方にも自由度を与えて頂けないかという意見が多くありました。

大学)今すぐにというわけにはいきませんが、助教に対する配分を予算化することを現在検討しております。ただし、助手については現在の予算配分のままで、個人研究図書費に残額が生じた場合には学部でプールし、学部図書整備充実費に合算して当該学部で必要なものを購入する制度となっています。現在の執行率を見ますと学部の予算で助手が購入することは十分可能と思います。所属教室の教授あるいは学部の図書委員に相談していただき工夫していただければと思います。

5.学年暦について

組合)土曜日の授業や祝日に授業を行うのは、基本的に教務委員会で出され、教学担当副学長が決定されたものであるとのことですが、土曜日授業については、非常勤講師で出講されている方、育児・介護の問題を抱えている方から多くの不満が出ています。また、土曜日授業を休んだ場合、補講をしなければならず、その補講も土曜日や平日6限目となっており、補講も行うことができません。
15回確保している授業回数を、九大では15回目に授業と試験を実施してよいことになっています。九産大の共通教育の英語では強制的に15回目に試験をさせて、定期試験期間中には試験を行わないようにしており、なるべく土曜日授業の負担を増やさないという措置が取られています。福大では今後どのような学年暦をお考えなのかお伺いし、組合員の皆さんに知らせたいと思います。

大学)授業時間について説明させていただきますと、大学設置基準では授業時間外に必要な学習時間も考慮せよとのことです。それについては、シラバスに時間外学習を明記するということで対処しています。授業時間外に必要な時間数を考慮すると45時間相当の学習時間を1単位と定めています。講義科目の場合の授業時間数は、1単位当たり最低でも15時間確保となっています。
定期試験の期間を含めてはならないと、平成20年度に出された中央教育審議会の答申の中で出されています。古き良き時代の大学とは違うものになってきており、見える教育の質ということを時間数の確保という形で強く求められています。質を保証するというために、まずは時間数の最低限を満たす必要があり、社会が大学に求めている最低限のことは大学として実現していかなければなりません。
先生方の要望は理解できますが、学年暦については、諸々の行事があり、調整は困難を極め、先生方の研究時間を確保するために夏休みの短縮を避ける現在の学年暦が教務委員会で合意が得られています。その結果、先生方の研究時間確保のために祝日や土曜日に授業を行わざるをえません。演習や実習で試験を実施しない方が、教育効果が高まる科目もあるので、そういうものは定期試験を実施しないという形で対応しています。平成23~25年という3年間は、夏休みは短くしないという形で教務委員会・大学協議会で了解を得ています。
平成26年度に向けて、今後検討しなければならないと思いますので、組合の声を取りまとめていただければ、参考にさせていただいて検討していきたいと思います。

組合)組合に届いている声のなかには、夏休みを短くしてもよいから土曜日の授業はしないで欲しいという声もあります。介護・育児など抱えている方に不利益にならないようご検討をお願いいたします。

大学)教務委員会では、圧倒的に研究時間を確保しなければいけないという声が大きかったので、こういう形での授業15回確保ということになりました。土曜日授業を行うことによって、支障を来たすということを多くの方々が思っているのであれば、対応も考えなければいけませんが。

組合)夏休みが短くなっては困るという意見も、組合には届いています。この件は誤解のないようにお願いいたします。この制度をとるなかで、たまたま土曜日に授業を行ったことに不都合があり、その声が組合に届いたということです。

6.嘱託職員の雇用期限の問題について

組合)平成19年度採用からの事務嘱託職員(定年後嘱託は除く)については、最長7年という雇用期限があり、すでにあと2年を切って、間もなくその期限を迎える職員もいる状況ですが、組合としては、このように長期にわたって雇用されている方を退職させ、新たに同じ条件で新しい方を採用する人事政策は、その部署に無駄な労力を使わせることになり、さらには、社会に対してワーキングプアーの増加を増長する方向であり、大学という組織の雇用体系としては好ましくないと考えます。ついては、この雇用期限を迎えられる嘱託職員の再雇用や雇用期限の撤廃を改めて強く要望します。この問題は緊急の課題であり、とくに平成19年度採用の方については残り2年を切っている状況です。そんな中で、優秀な嘱託職員の中には非常に難しい資格を取って、近く別の職場へ正職員として採用されるという方もいますが、この方をこのような形で辞めさせてしまうことは、本学にとって大きな損失で、本来なら正職員への登用も考えてあげるべきだったと思います。

大学)契約の更新は、1年・3年・3年と2回を上限に認めています。更新が3回になることは制度上も難しいのでどうかご理解願いたい。現在は、人件費率50.8%の抑制を考える必要があり、経営の効率化を進めなければならないと考えています。人件費が増加傾向にあることからも期限の撤廃は難しいし、仮に撤廃しても無理があると思います。嘱託職員として雇われたご本人も、期限付きであることを認識して応募されているのではないですか。経営判断の問題として、現在の嘱託職員に依存している労働力を「期限なし」に変更するのはリスクが伴うものと考えているのです。

組合)まだ法案は通っていませんが、5年以上雇用した場合は正職員同様の雇用期限がないようにするという方向もすでに示されています。これも含め、間もなく期限を迎える方のことを考えていただきたいと思います。

7.各種ハラスメントに関する対策について

組合)組合は今回の規程改訂を評価しているものの、運用体制について懸念していることが2点有ります。
1)匿名性の問題です。ハラスメントの実態があるにもかかわらず、抽出しにくい状況を生み出してしまいます。匿名で相談できる体制も設けてほしいと思います。
2)相談員の人選がすべて学内の人になっていることです。外部の第三者も加えて欲しいと思います。また、電話やメールで相談できるようにして欲しいと思います。それが、とりわけ弱い立場に置かれている人にとっては、それが救いになると思います。
この2点は規程の問題ではなく、運用面での問題です。
もう一つ、現状が分からないので、相談員の稼働状況(少ないのか多いのか)、それをどう解釈しているのかについても報告が欲しいと思います。

大学)第三者機関については今のところ考えていません。匿名性の問題については何とかしたいと考えています。相談は受け付けられるが、個別対応を求められる申し出になれば受け付けられません。なぜなら、当事者を特定できないと個別の救済が難しいからです。内容も一般的な助言にとどまってしまいます。実際の被害救済ができません。さらに懸念しているのは、個人への誹謗中傷が含まれる可能性も否定できないことです。第三者機関には優位性があるとのことですが、相談専用のメールアドレスを設けるなど、相談しやすい形にしたいと考えています。ガイドラインやパンフレットを準備中です。
メンバーや任命基準は5月にお知らせしたとおりです。男女間・部門間のバランスを考え、相談や解決に必要な知識を有する人にも入っていただき、心理学や法学の先生にも入っていただくなど相談に支障が生じないよう配慮しました。選任基準については、ガイドラインを出すので、その中で掲載させていただきます。今の状況を公開することは大事なことだと思います。個人情報に触れない形で検討したいと思います。今後、件数や内容を公開していきます。これまで3回委員会を開催し、6月に4回目を開催予定です。全学的な防止啓発のため、ガイドライン及びパンフレットを準備しているところです。8月下旬、啓発の一環として講演会を予定しています。

組合)匿名性を維持する段階について、組合側と理解の相違があります。初期の段階では、匿名で時間をかけてしっかり実態を把握することが必要であり、匿名であっても話を聞いてもらえるようにして欲しいのです。その間に客観的な調査をし、事実が認定された時点で実名を明かして救済を進めるという流れを考えています。啓発やパンフレットは意味がありますが、匿名ではダメだという誤解や、自分の部門の相談員にしか相談できないという誤解もあるので、その点がはっきりわかるようにしてほしいと考えます。第三者機関を一人くらい置くことに弊害はないと思うのですが、置かない理由は何でしょうか。

大学)外部から委員を入れる理由が見当たらないからです。

組合)であるならば、まだまだ態勢が貧弱だと思います。匿名性の担保のために悩んでいる人が一杯います。広島大学では、任期付きですが、相談のために、授業を持っていない専任の教員がいます。ハラスメント相談等では、匿名で相談を受けて、後に実名を明かすという形です。また、専任の相談員を作るべきだと思います。

大学)相談員に負担を強いないためには、啓発を早い時期にやっていくべきだと思っています。

組合)ハラスメントが起きない環境作りで相談員に負担をかけないという認識は根本的に間違いだと思います。ハラスメントは起き得るのだと考え、より専門性の高い、そして、時間をかけてことに当たれる人が必要だと思います。

組合)職員のメンタルヘルスを担当していますが、ハラスメントに関してはどこに相談したら良いのかが明確ではないので、自分が産業医でないために職場との間で調整にも当たれません。ハラスメントは精神疾患に係わる場合もあります。被害妄想に基づく事案、認知症に基づく事案等の検討も必要です。

組合)組合と大学のハラスメント対策の捉え方にまだギャップがあるようです。訴えを出したら寄り添ってもらえるような体制を取って欲しいと思います。申し出た途端に、誰かを辞めさせて欲しいという訴えをしているわけではありません。

大学)人的配置など今の状況でできることがあると思うので、組合と情報交換しながら実効性の高いものにしたいと思います。

8.男女共同参画の実現に向けて

組合)旧姓使用の問題に関して、グループウエアにおける次の更新時期はいつでしょうか。また、「次世代女性研究活動支援室」について、この補助金は理系のみに申請されていますが、文系教員や事務職員にも拡大することを検討していますでしょうか。

大学)旧姓使用については検討しています。グループウエア上、改修費用がかかるということがあって、リプレースの時期でないといけないのです。総務課のリプレースの時期は今年度の夏です。そのため、リプレースの検討は1年前から始まっています。そこの中で去年の秋の段階でこの話は出て予算もとっていますので、残念ですが今回のリプレースには間に合いません。次のリプレースは最低5年で、費用の関係上伸びることもあるので5〜7年先になると思います。単独で改修すると非常に高額な費用がかかるので、今回はちょうど間に合わなかったということでご理解いただきたいと思います。この提案は昨年の夏から検討し、予算が終わった段階で提案されたということで最短で5年、最長で7年後のリプレースの際に、検討をする前に要望書を出していただきたいということです。

組合)「次世代女性研究活動支援室」の件ですが、文部科学省のHPの該当頁を見ると採択された他の大学、例えば順天堂大学などについては各大学の男女共同参画室などにリンクが貼られ、どのような活動をしているのかを見ることができます。しかし、まだ福岡大学だけどこにもリンクされておらず、ちょっとさみしい感じを受けました。福大では何をやっているのか全くわからないようになっています。

大学)そのことでは国・地方公共団体で全てに共通に課せられた責務であり、大学の責務でもあると思います。本学は、昨年9月26日に男女共同参画推進準備委員会を設置しています。藤原副学長を中心としたワーキンググループを設置して、近々本格的に検討していく予定になっています。また、将来的には、文系・事務にも拡大していく予定になっています。

【確認事項】

1.嘱託職員精勤手当の支給について

組合)昨年の第2回学長交渉で嘱託職員の精勤手当の見直しを確約されましたが、どのように改善(改定)されたのかの提示をお願いします。また、在職15年以上、在職20年以上についても手当の新設もお願いいたします。

大学)平成24年4月給与より、嘱託職員の精勤手当を次のように改定しました。 勤続年数3~4年度目では現行千円を2千円に、勤続年数5~9年度目では現行2千円を3千円に、また勤続年数10年度目以降では現行3千円を4千円にアップしました。
なお、在職15年以上、在職20年以上については手当の新設は行っていません。

組合)今後とも配慮をお願いします。

2.嘱託職員の契約時の賞与に関する明確な記載がなかったことについて

組合)昨年度は、「基本給の約3.95ヶ月分とし、2回に分けて支給する。」と明文化されていました。しかし、今年度は「本学の規定により年2回(6月、12月)に分けて支給する。」とだけで明確な数値が記載されていません。これは大学内他部署の記載に合わせたものと思われますが、減額されるかもしれないと疑心暗鬼のまま契約に臨んだ職員もいます。疑心を晴らすためにも、経緯のご説明をお願いします。

大学)嘱託職員は1年契約となっています。契約時点では人事院の賞与支給率は決定していません。参考までに例年前年度の人事院勧告の3.95ヶ月(平成23年度)を表記していました。しかし実際には3.95ヶ月より多くなる年や少なくなる年もあり、契約時に表記することは望ましくないと考えました。つまり人事院勧告は毎年変動する要素があるため、事務嘱託の複数の契約者に対し支給率を固定する契約内容になっていたため不適切と考えて改めた次第です。

2012_07_17_平成24年度第1回学長交渉議事録.txt · 最終更新: 2012/08/29 14:55 by admin